少し文学的な風味日記
目を覚ますと、10時過ぎ。
疲労が取れてないようなので、瞑想の音声を流しながら、まどろみ二度寝へと落ちる。
再び起きると、14時前。
音楽を聞きながら、のんびり出掛ける準備を進める。
雨の匂いがしたので、傘を持って部屋を出る。
学生課に書類を出し、家主がいない友達の部屋へ所用を済ませに行く。
既に寮を去った人がいるとは言え、まだ寮に残っている人の方が多いはず。
加えて、外出自粛のため、数百人が同じ建物にいるはず。
なのにその生活を一切感じさせないほどに寮内は閑散としている。
などと考えながら、目的の部屋に着く。
今までにも家主の不在時に何度か訪れたことはあるし、部屋の様子は特に変わらない。
けれども、今回はしばらく彼が戻ってこないという事実を知っているというだけで、何か本質的に違う場所担っているようだった。
寮内での用事が済んだ僕は、不要不急の外出のため、外へ出る。
強風にあおられ、傘はその役目を全うすることなく心折れた。
自分の車に乗って少し遠い道のりを進む。
ずっと前を走る車の横揺れが気になるのは、僕の気持ちが急いているからだろうか。
確定申告の手続きの会場は、ここ一週間で見たどの場所よりも、人が密集していた。
僕がこの一週間生きてきた場所とは、違う世界に迷い込んでしまったような気がして。
何だか笑ってしまった。
風の音を聞きながら、時間を潰す。
車というのは一個の自分の城だと思う。
自分の思うように動き、外界を遮る。
さて、この街とも、そろそろお別れになる。
最後にどこか行ってみたいけれど、危なっかしくて、どこにも行けやしない。
どうしたものかと思案しているうちに、残された時間は刻一刻と進んでいく。
だがしかし、不思議と悪くない心地である。