小説が書けない
今、落ち着いた時間が流れている、というよりも、落ち着いた時間を流したいと思っている。だから、当たり前の日常のように静かに進み、感傷に浸れるような小説を読みたいなと思った。
図書館や書店に足を運ぶ習慣が無い僕は、まずネットで本を探す。そして、どうせネットで買うなら、すぐ読めて保管の便が良い電子書籍を注文する。
けれど、漠然と、その方法では今自分が一番読みたい作品に出会える予感がしなかった。
じゃあ、そんな作品を、自分で。
と、パソコンを、wordを開く。連日大学の課題等で見慣れている画面を前に、得意だと思っている文章作成だけれど、いざ自分が小説を書くのだと思うと、まるで進まない。
冒頭の文章を少し書いて、「果たして、これはどこへ向かうものなのだろう。何の意味を持つものなのだろう」そういう気持ちでいっぱいになって、先へ進めない。
面白そうだなという話を考えることはできても、実際に文章に吐き出してみると、自分の頭の中で広がった想像よりもスケールダウンし、思考よりもはるかに遅いペースでしか物語は進まない。面白いもの、良い物を書きたいと思って始めたのに、それが出来上がるビジョンが浮かばない。
思えば、初めて小説を、物語を作ってみたいと思ったときからの十年ほどの間に、自分は何度それを形にしようとして、幾つ仕上げられたのだろう。
結局、妥協、やりきれない気持ちをここに書き出すのが精一杯な僕でした。